「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
ブレイディみかこ 著
何年も昔のことになりますが、夫の仕事の都合でトルコのイスタンブールに短期間住んでいたことがありました。
トルコの人たちは、ほとんどみんな親切で優しかったのですが、道を歩いていると「ニーハオ!」や「こんにちは!」とやたら声をかけられるのがちょっとストレスでした。
それは差別というよりは、トルコ人特有の好奇心みたいなもので挨拶してきたのだと思います。満面の笑顔だったので。
その一方で、「チーン!」(トルコ語で「中国人」)と怒鳴りつけてくる人もいました。
人種差別は、ただ道を歩いているだけで、何も悪いことをしていないのに受ける、非常に気分の悪い体験です。
著者のブレイディみかこさんも、イギリスの街を歩いているだけで明らかに差別的な態度で「ニーハオ!」と声をかけられます。
この本には人種や経済的な格差による差別の問題が分かりやすく、具体的な実体験に基づいて書かれています。
でも、読んでいて嫌な気分にならず、中立的な視点と、絶妙なさじ加減でさわやかな気分で読了できるのがすごい。
また、多様な人種と経済格差のある英国ではいろんな言動に気をつけないとこちら側も思わぬ地雷を踏んで、加害者になってしまうことも考えさせられます。
その一方で、私たち日本人も外国の人のことを「ガイジン」と言って差別していることに気づきます。
日本と英国にルーツを持つ息子さんが、著者の故郷、福岡で酔っ払いのおっさんに「YOUは何しに日本へ?」としつこく絡まれたエピソードは胸が痛くなりました。
そんなわけで、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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